●本記事のポイント ・AIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」、公開からわずか2年ほどで世界で急速に利用が拡大 ・ノーコード/ローコードで生成AIアプリを開発できるため、非エンジニアでもアプリやツールを作成できる ・使用するLLMは「GPT-4o」「Claude」「Gemini」などから用途に応じて選ぶことができる

 米LangGenius(ラングジーニアス)が開発・提供するAIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」。2023年の公開からわずか2年ほどで、世界で急速に利用が広まっている。ノーコード/ローコードで生成AIアプリを開発できるため、非エンジニアでもアプリやツールを作成できる。使用するLLM(大規模言語モデル)はOpenAI「GPT-4o」、Anthropic(アンソロピック)「Claude」、Google(グーグル)「Gemini」などから用途に応じて選ぶことができ、オープンソースのプラットフォームであるためカスタマイズやエンハンスがしやすい。ラングジーニアスが日本市場に注力していることから日本語対応が進んでおり、外部ツールとの連携もしやすいため、日本企業でも導入・活用が広がっている。データ収集・分析・報告やチャットボット作成、議事録作成、各種コンテンツ作成、自動ナビゲーション作成などによって大幅な業務効率向上の効果が生じているようだ。他のAIコーディングツールとどのような点が異なるのか。また、どのような用途に向いているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

簡単な業務用アプリづくりができる

 Dify(クラウド版)の料金プランは大きくは3つ。個人/小規模組織向けの月額59ドルの「PROFESSIONAL」、中規模組織向けの月額159ドルの「TEAM」、そして無料のトライアル版「SANDBOX」。よって、とりあえず無料の「SANDBOX」で試行してみてから有料プランに加入して本格的に使うということも可能だ。

 Difyは他のAIコーディングツールやノーコードプログラミングツールと比較して、どのような点が違うのか。また、どのような点が優れているのか。ソフトウェアエンジニアで合同会社Hundreds代表の大塚あみ氏は次のように解説する。

「非エンジニアでもコードを書かずに簡単な業務用アプリづくりができるのが特徴です。画面(UI)、使うAIモデルの切り替え、出来上がったアプリの公開、そして動かした記録管理までワンセットとなっています。しかもオープンソースなので、基本的な使用にはお金がかからず、改造も自由度が高いのが強みです」

 注目するべき機能は何か。

「PDFやExcelをドラッグするだけでAIが中身を見て、ユーザが質問するとその資料の内容を引用しながら答えてくれる、Chatbotのような機能が備え付けられている点です。また、ウェブ検索や計算機など好きなツールを後から追加できるので、誰でも簡単に業務の自動化ができるところが大きな魅力です。複雑な専門設定がほとんど要らず、クリック中心で進められる点が、非エンジニアによく使われている理由であると考えられます」(大塚氏)