念のため言っておくが、私は排外主義者ではない。多様性は大切だし、外国人労働者の受け入れも必要だろう。だが、それは自国の文化を否定することとは全く別の話だ。
むしろ逆ではないか。自分たちの文化に誇りを持てない国に、誰が魅力を感じるだろう。「うちの文化は七面倒くさいけど、金払うから来てください」——こんな情けない勧誘があるだろうか。
文化とは積み重ねだ。千年以上かけて磨き上げられた言葉。四季の移ろいとともに育まれた習慣。それらを次の世代に手渡していくのが、私たちの務めだ。
その務めを放棄し、あまつさえ「七面倒くさい」と吐き捨てる。これが今の日本の姿だとしたら、あまりにも悲しい。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)