今回、再出発が可能となった背後には、音楽制作会社などのプッシュもあったが、リアムもノエルも大好きな実母の願いに応えたかったからだという。母親は「もう一度、2人の息子が一緒に舞台で歌ってほしい」と切実に願ってきたというのだ。

母親が工場で遅くまで仕事をしなければならない時、幼いころのリアム少年は2人の兄が留守で独りで母親の帰りを待っていた時、寂しくなって母親が働いている工場まで泣きながら走っていった、というエピソードが伝わっている。当方はそのリアムが作曲した「Songbird」が大好きだ。リアムの心の世界が伝わってくる。

アルコール中毒の実父と離婚して、3人の息子たちを育てた母親はリアルもノエルも愛してきた。2人の息子が母親に大きな館を買ってあげるといった時、母親は「大きな館で一人住むのは・・」と言って断ったという話を聞く。ノエルは小さい時、父親の言うことを聞かないのでよく叩かれたが、末息子のリアムは両親から愛されたという。

ノエルとリアムの兄弟喧嘩の話を聞く度、旧約聖書「創世記」に記述されているカインとアベルの話を思い出す。カインは神の祝福を得たアベルを愛することが出来ず、殺してしまう話だ。 ノエルとリアムがカムバックできた最大の理由は高齢となった実母の「もう一度一緒にコンサートを」の声だったと聞いた時、カインとアベルを母エバが仲介して和解させていたならば、人類最初の殺人事件は起きなかったのではないか、と考えてしまった。

oasis Xより

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。