自動車については、トランプ氏の指摘は事実に反するでしょう。米国車が日本で売れないのは、「米国車のサイズが大きすぎて、日本の道路事情、車庫事情に合わない」、「燃費が日本車に比べ悪い」、「日本は国際的な安全基準(60か国が採用)を採用しているのに、米国は独自の基準で生産し、日本に輸出する場合、多額の改造費がかかる」「ディーラーの数も少ない」などによるのでしょう。
日本車の対米輸出は年間140万台程度で、米国車は1万6700台(2024年)と大差があるのは、そうしたことが背景にあるようです。事実関係を恐らく知った上で、トランプ氏は乱暴な発言を繰り返しているのでしょう。ファクトチェックをすれば、「クロ」(事実に反する)となります。トランプ氏の大げさな発言を垂れ流すのではなく、メディアはファクトチェックを即座にして、その都度、反論の報道すべきなのにしない。
立憲民主党の野田代表は「首脳会談を求めて突破口を開く構えと覚悟が必要だ」と、石破首相を批判しました。さらに「日米交渉は『やったふり感』は見えても、両国の距離感はどんどん遠ざかっている」と述べました。批判すべきはトランプ氏のなりふり構わない交渉のやり方です。他の野党の党首も、なぜもっとトランプ氏を鋭く攻撃しないのか不思議です。石破首相が窮地に追い込まれる都合がいいのでしょうか。
戦後の自由貿易体制が崩れようとしている中で、野田代表は「もっと多国間の関係の中で自由貿易の意義を説いていく作戦が必要だ」と、主張しました。トランプ氏はグローバリゼーションによって、富を増やした階層と貧困化した階層に明暗が分かれ、高学歴でない白人などの貧困化した階層がトランプ氏の支持層になっています。「自由貿易の意義を説く」はトランプ氏の耳に入らないでしょう。
時代は歴史的な転換期にきているのに、「財源の当てがない減税、現金給付」、「賃上げのための中小企業支援」、「移民は外国人に頼らない国家運営」など、与野党党首の発言を聞いて、日本の政治家はなぜもっとスケールの大きな議論ができないのかと、失望感を持ちました。