始める前に知っておくべきリスクも複数あります。まず資金リスクとして、初期投資として仕入れ資金が必要になります。次に在庫リスクとして、売れ残りによる資金の固定化や商品の劣化があります。さらに、同じ商品を扱うライバルとの価格競争により、想定していた利益が確保できない場合もあります。

プラットフォームの規約変更も大きなリスクです。Amazonや各販売サイトは随時規約を更新しており、これまで問題なく販売できていた商品が突然出品禁止になることもあります。また、一定以上の収入が発生すれば確定申告が必要となり、税務処理の知識も求められます。

価格設定については、Amazonでは同じ発送方法・同じコンディションの最安値を参考にするのが基本です。FBAを利用する場合は、自己発送より5〜10%程度高く設定しても、配送の速さと信頼性から売れることがありますが、市場の動向を常に観察し、柔軟に価格を調整する必要があります。

せどりを始める際の心構えと実践的アドバイス

せどりは、正しい知識と戦略があれば副収入を得られる可能性のあるビジネスです。しかし、インターネット上でよく見かける「簡単に稼げる」「誰でも月100万円」といった表現は現実的ではありません。

地方在住でも都市部でも、それぞれにメリット・デメリットがあります。地方はライバルが少ない反面、仕入れ先が限られる場合があり、都市部は仕入れ先は豊富ですが競争が激しいという特徴があります。どちらの環境でも、自分の状況に合った戦略を立てることが重要です。

興味がある方は、まず本業に支障をきたさない範囲で、少額の資金(例えば1〜3万円程度)から始めることをお勧めします。せどりは可能性のあるビジネスですが、安易な気持ちで始めるのではなく、しっかりとした準備と覚悟を持って取り組むことが成功への第一歩となるでしょう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。