夏のビーチで見かける美しい模様の貝殻。思わず手に取ってみたくなるが、その誘惑が時として命取りになるかもしれない。
沖縄のビーチで、あるTikTokerが投稿した一本の動画が、今、世界中に衝撃と恐怖を与えている。彼女が「きれい!」と無邪気に手に取ったその貝は、人間を殺すほどの猛毒を持つ、海の暗殺者だったのだ。
2900万人が戦慄—無知が招いた“死とのふれあい”
事件の主役は、沖縄在住のベッキーリー・ロールズさん(29歳)。彼女はビーチで、黒と白の美しい幾何学模様を持つ貝殻を発見した。その魅力的な見た目に惹かれ、何の疑いもなくそれを手に取り、動画を撮影してTikTokに投稿した。
@beckyleeinoki⚠️ Last time I ever pick up a cone shell barehanded…storytime coming#conesnail#shelling#oceanlife#venomous#beachcombing♬ DIM – Yves
「最初に見た時、ただその美しさに夢中でした。今までもビーチでためらわずにたくさんの貝殻を拾ってきたし、最初はそれが生きているとさえ気づかなかったんです」と彼女は語る。
しかし、この動画が投稿されるや否や、視聴者から恐怖のコメントが殺到する。「すぐにそれを手放して!」「死ぬところだったぞ!」。彼女が手にしていたのは、イモガイ科の中でも特に危険な「アンボイナガイ(Conus marmoreus)」と見られる、極めて毒性の強い生物だったのだ。この“死とのふれあい”を記録した動画は、瞬く間に拡散され、再生回数は2940万回を突破。多くの人々に、海の危険性を再認識させることとなった。
海の宝石に隠された“必殺の毒針”
イモガイは、南シナ海や太平洋の暖かい海に生息する巻き貝の一種で、その種類はなんと約700種。そして、そのすべてが猛毒を持つ。彼らは、その美しい見た目とは裏腹に、極めて獰猛なハンターだ。
その武器は、体内に隠し持った「毒の銛」。獲物を見つけると、この中空の銛のような歯を高速で突き刺し、強力な神経毒を注入する。その毒は、魚や他の貝類を一瞬で麻痺させるほど強力で、人間にとっても致命的だ。世界中でイモガイによる死亡例が報告されており、さらに恐ろしいことに、現在でも有効な抗毒素(血清)は存在しない。
