●この記事のポイント ・「Opus 4」と「Sonnet 4」をリリースしたAnthropicの「Claude 4」が注目されている ・質問の背景・文脈を理解し、ユーザーが想像していなかったような回答を返すことも ・日本語特有の婉曲表現や微妙なニュアンスなども含んだ人間的な文章を生成
米グーグル「Gemini」、米OpenAI「ChatGPT」、米マイクロソフト「Copilot」、米メタ「Llama 4」など有力テック企業が生成AIモデルを提供するなか、5月に次世代モデルの「Opus 4」と「Sonnet 4」をリリースしたAnthropicの「Claude 4」が注目されている。より高い性能を達成することを最優先に据えて早いスピードで展開される生成AI開発競争に懐疑的な見方を示し、信頼と安全を重視するAnthropicは、人間社会の原理原則を重視する「Constitutional AI」という開発手法で知られている。そんな同社がアップデートした最新版のClaude 4とは、どのような特徴や強みを持つのか。また、ビジネスにおいてパフォーマンス向上や業務効率化につなげるためには、どのように活用すべきなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
日本語に強いという特徴
他の生成AIモデルと比較した際のClaude 4最新バージョンの特徴や優れている点について、ITジャーナリストの本田雅一氏は次のようにいう。
「まず、誤った情報を可能な限り出力しないための配慮が施されているということをかなり強く感じます。また、コンテキストウィンドウが20万トークンと大きく、ユーザーが投入した質問の背景・文脈を理解し、会話すればするほど専門性が上がってくるため、ユーザー本人が想像していなかったような内容が、出力された文章のなかに現れてくるといったことがあります。推論機能もデフォルトで備わっており、細かくプロンプトを指定しなくても、深い答えが返ってきます。
そのほかの大きな特徴としては、さらにより深く考えるというオプション機能があります。たとえばプロフェッショナルな視点での質問を受けると、Claudeは深く推論を行い、プロフェッショナル向けの回答を返します。逆に『一般の人たちがSNSでどのような反応をしているのか教えてください』といったライトな質問に対しては、一般向けの回答を返してくるといったように、人間であれば当たり前にやっているように、質問の仕方や内容によって、どのような答えが欲しいのかということ考えて回答を返してくるのです」
日本語に強いというのも特徴で、日本語特有の婉曲表現や微妙なニュアンスなども含んだ人間的な文章を生成してくれます。プロンプトの入力内容にもよりますが、AIモデルでは箇条書きで構造化した文章で回答が返ってくることも多いですが、『滑らかな文章で返してください』と入力すると、指示通りに返してくれます」
高い分析能力もClaude 4の強みだという。
「テキストデータや集計データなど複数のデータを与えると、それぞれの相関関係について分析して回答を返してくれるという部分が、他の生成AIモデルに比べて非常に強いといえます。プログラミングのコード生成機能も非常に優れたものになっています。他社からもAIコーディングツールが出ていますが、コーディングにほぼ特化しているOpenAIのCodexやグーグルのJulesなどとは異なり、Claude 4はコーディング以外の機能も使うことができます。プログラムのコードというのは一般的に非常に長く、それに対応するためにグーグルのGemini 2.5 ProやOpenAIのChatGPT 4.1は100万トークン規模の大きなコンテキストウィンドウを備えています。このようなプログラミングに特化したモデルに比べると、Claude 4は大規模なプログラムを生成するという用途には適していないかもしれません。
ですが文庫本1冊分くらいの文脈は全部記録して出力可能であり、文書作成という用途には十分ですし、書籍数冊分の情報であればすべての文脈を理解して文書を返してくれるのも強みです」(本田氏)