●この記事のポイント ・これまで会計ソフトに馴染みのない企業にも使ってもらえるよう、新製品を開発した ・「使い始め、日常での利用、数値データ活用」の3つのシーンでの使いやすさを追求している ・勘定科目の登録や資金予測においてAIを活用している
クラウド会計ソフトの市場が拡大する中、弥生株式会社は2025年4月に法人向けクラウド会計サービス「弥生会計 Next」を正式リリースした。これまで会計ソフトには馴染のなかった中小・零細企業にも利用してもらえるように、徹底的に使いやすさにこだわった新製品は市場での評価も高く、発売後は当初の想定を上回る販売量を達成している。ユニークなのは、AIと聞くだけで忌避感を覚えてしまうような中小企業の経営者や経理担当者もターゲットとしている点だ。顧客層として重視している点だ。AIを活用してユーザーが極力“かんたん”使えるよう工夫しているにもかかわらず、AI活用という点をあえて強調していないという。従来の会計ソフトの枠を超えた今回の新製品は、これまでの製品と何が大きく異なるのか。開発責任者である同社次世代本部 次世代戦略部の広沢義和部長に開発の背景や製品の特徴、今後の展望について話を聞いた。
●目次
会計ソフトをもっと多くの企業に使ってもらいたい
──今回の新製品の狙いについてお聞かせください
当社では元々クラウド会計ソフトを提供していましたが、より多くの新しいお客様を獲得したいという理由から、新たなクラウド製品の開発に着手しました。毎年実施している、外部調査における、会計ソフトの利用率調査では、会計ソフトの利用率はおよそ35%から40%くらいとなっています。年々増加傾向にはありますが、それでもまだまだ使われていない方の割合が多いのです。
したがって、まだ会計ソフトに馴染みのない方や、潜在的なお客様に対して、より積極的に接点を持ちたいと考えました。潜在需要の掘り起こしという狙いから今回の新製品開発に取り組みました。
──どういった理由でこれまで使われていない方が多かったのでしょうか
当社で調査をした結果、大きく二つの理由があると考えています。一つは「会計ソフトはとっつきにくい」という心理的なハードルですね。「本当に自分に使いこなせるのか」と思われてしまうようです。
そして二つ目が物理的なハードルです。導入してみたものの、やはり実際の操作の部分でつまずいてしまい、結局使わなくなったといった声もお聞きしています。このような心理的なハードルと物理的なハードル、この二つを解消してあげることがポイントになると考えました。
ですので、今回最もこだわった点は「いかに簡単に使えるか」を追求した操作性です。このためUI(ユーザーインターフェース)には徹底的にこだわりました。