さらには、口腔内の微生物環境の乱れが、糖尿病や心血管疾患、さらには認知症リスクにも関連するという報告もあり、歯磨き以上に慎重な使用が求められる製品といえるでしょう。

今回、ラトガース大学の研究チームが注目したのは、「善玉菌を守りながら悪玉菌だけを減らす」という選択的なアプローチでした。
彼らはその「ターゲットを絞った殺菌効果」が市販のハーブ系マウスウォッシュ「StellaLife VEGA Oral Rinse(本記事ではステラライフと呼ぶ)」にあると考えました。
なお、米国食品医薬品局(FDA)による安全性や効果の承認は受けていませんが、製品側ではFDAの”cGMP(現行適正製造基準)”に準拠して製造していると主張しています。
研究では、5種類の代表的な口腔内細菌を対象に、ステラライフとクロルヘキシジン、リステリン、そして対照としての生理食塩水(PBS)の効果を比較しました。
細菌は単独での培養(プランクトン状態)だけでなく、4種混合のバイオフィルム、さらには実際の歯周病患者由来の80種以上の多菌種バイオフィルムで評価されました。
また、ヒト歯肉細胞を用いた3Dスフェロイドモデルで、それぞれの洗口液の細胞毒性も調べられました。
ハーブ系マウスウォッシュは悪玉菌だけをターゲットにする
結果として、ステラライフは悪玉菌であるFusobacterium nucleatumとPorphyromonas gingivalisの成長を抑える一方、善玉菌であるStreptococcus oralisやVeillonella parvulaの生存をほとんど損なわないという「選択的な殺菌効果」を示しました。
一方、クロルヘキシジンとリステリンは、善玉・悪玉を問わずすべての菌に対して強い殺菌効果を示し、結果としてバイオフィルムそのものがスカスカになってしまいました。