口の中をスッキリさせてくれるマウスウォッシュが手放せない人は少なくないでしょう。
殺菌作用の強いマウスウォッシュは、口臭の予防や歯周病のリスク軽減に役立つとされ、多くの人が愛用しています。
しかし、その一方で「善玉菌」まで一掃してしまうことへの懸念も存在します。
こうした中、アメリカのラトガース大学(Rutgers University)の研究チームが、善玉菌を温存しつつ悪玉菌だけを選択的に殺菌できるマウスウォッシュを市販製品の中から発見したと報告しました。
研究成果は2025年5月19日付の『Frontiers in Oral Health』誌で発表されました。
目次
- 口腔内の菌を一層する従来のマウスウォッシュに対抗するものは?
- ハーブ系マウスウォッシュは悪玉菌だけをターゲットにする
口腔内の菌を一層する従来のマウスウォッシュに対抗するものは?

私たちの口の中には、数百種類以上の微生物が共生しています。
その中には「善玉菌」と呼ばれる有益な菌と、「悪玉菌」とされる病原性のある菌が存在します。
善玉菌は、他の病原菌の侵入を防いだり、口腔内の酸性度を調整する働きがあります。
一方、いくつかの悪玉菌は、歯周病や炎症の原因となり、体内への感染リスクを高めるとされています。
マウスウォッシュを用いるなら、こうした問題児たちを簡単に殺菌できます。
ところが、市販の多くのマウスウォッシュは「広域殺菌作用」を特徴としており、善悪の区別なく、口腔内の細菌を一掃してしまう傾向があります。
特に、抗菌剤としてよく使われるクロルヘキシジン(PerioGardなど)やリステリンは、強力な殺菌力を持ちますが、同時に口腔内のバランスを崩してしまう可能性もあります。
過去の研究では、こうしたマウスウォッシュの長期使用が口腔内の善玉菌を減らし、唾液のpHを下げ、歯の脱灰リスクを高めることさえ示唆されています。