本物か、捏造か—激突する両者の主張

 この映像の真贋をめぐり、UFO研究家と懐疑派の間で、長年にわたり激しい議論が繰り広げられてきた。両者の主な主張は以下の通りだ。

** 【本物派の主張】 ** ** 時代の壁: ** もし1994年の映像なら、これほどリアルなCGI(コンピューターグラフィックス)やドローンを作るのは極めて困難。 ** リアルなカメラワーク: ** ズームの仕方や手ブレ感が、当時の家庭用ビデオカメラ(VHS)の特徴と一致している。 ** 環境との干渉: ** 物体がアンテナの裏を通過する際、不自然な切り抜き(マスク処理)の跡が見られない。

** 【懐疑派の主張】 ** ** 良すぎる画質: ** 1994年のVHS映像にしてはノイズが少なく、画質が「良すぎる」。デジタルで撮影したものを、意図的に古く見せている可能性がある。 ** 不自然な沈黙: ** これほどの物体が目の前に現れたのに、撮影者の驚く声や、周囲の騒音、人々の叫び声などが一切入っていない。 ** 映像のアラ: ** アンテナの裏を通過する一瞬、アンテナのケーブルが不自然に現れたり消えたりするコマがあり、合成の痕跡ではないかと疑われている。

ネットを30年彷徨う“完璧すぎる”円盤映像の謎… 1994年、アゼルバイジャン上空のUFOは本物か?の画像2
(画像=画像は「YouTube」より)

時代と矛盾する“美しさ”と、都合の良すぎる結末

 懐疑派が最も強く指摘するのは、この映像が持つ、時代との「矛盾」だ。1994年という年代設定にしては、あまりに映像が“綺麗すぎる”。さらに、UFOのデザイン自体が、その時代のSF作品に出てくるような「いかにも」な姿であり、都合が良すぎるという見方もある。

 そして何より、映像の終わり方だ。円盤は、建物の壁の影と思われるぼやけた部分に差し掛かると、そのままスッと姿を消す。まるで、その後の動きを見せる必要がなくなったかのように。このあまりに“便利な”エンディングも、捏造を疑う根拠の一つとなっている。

 結局のところ、この映像が本物であると証明する決定的な証拠も、フェイクであると断定する決定的な証拠もない。AIがリアルな映像をいくらでも生成できる現代において、この古めかしい円盤の映像は、我々にUFO研究の原点、すなわち地道な証拠の探求と、飽くなき分析の重要性を思い起こさせてくれる。

 30年間、ネットの海を漂い続ける謎のUFO。あなたには、これが本物に見えるだろうか。

参考:Portal Vigília、ほか

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