私たちが日常で入る「保険」とは、本来どういうものでしょうか。

火災保険でも、自動車保険でも、旅行保険でも、「万が一」の大きなリスクに備えるのが保険の基本です。

たとえば自動車保険は、事故を起こさず保険を使わない人ほど割引が増え、保険料がどんどん安くなる仕組みです。逆に、事故を起こして保険を使えば、翌年から保険料は跳ね上がります。

これが保険の原理原則です。

「リスクに備え、なるべく保険は使わない」という意識を社会全体で共有することで、保険制度は健全に保たれています。

しかし、日本の医療保険は、世界でも珍しい逆転現象が起きています。

年齢を重ねるほど負担が軽くなる日本の特殊ルール

日本では年齢が高くなるほど、医療の窓口負担がどんどん安くなるという仕組みが定着しています。

しかしこれは、実は世界標準ではありません(※要ファクトチェックですが、私が調べた限り、ここまで年齢だけで負担が軽減される制度はほとんど見当たりません)。

高齢になれば病気になる頻度が高くなり、医療サービスを多く利用するのは当然です。

それなのに負担が下がる――。

これは保険の原則からすると明らかにおかしいのです。

むしろ、普通の保険ならよく使う人の方が保険料や負担額が高くなるのが自然。

ところが、日本の医療保険は「使う人=高齢者ほど安くなる」という真逆の設計になってしまっています。