これらの翼は風の方向に応じて角度を変えながらトラック上を走行し、ケーブルの直線的な動きを発電機で電力に変換する仕組みです。
設置高さは約25メートルで、空高くそびえる従来型とは対照的に、比較的低高度な構造です。
小型でモジュール式の設計により、製造・輸送・設置のすべてが簡素化され、コスト効率に優れているとされています。

商用モデルとしては2.5MW級の出力が想定されており、これは2千世帯以上の電力をまかなう規模です。
さらに驚くべきことに、この発電システムは1台のトラックで運搬可能で、設置にも大型クレーンを必要としないとされています。
このアイデアは長年、小規模な試験のみが実施されてきましたが、ついに実用規模の開発が始まりました。
「奇妙な風力発電機」実用規模のマシンが建設開始

2025年6月、Airloomはワイオミング州ロックリバー近郊において、新型風力発電機の初のユーティリティスケール試験施設の建設に着手しました。
ここでは、出力パワーカーブや効率性、保守性といった技術的側面が検証される予定です。
この試験施設は将来的に拡張される可能性があり、商用デモンストレーションは2027年に開始される計画です。
出資者には、ビル・ゲイツが主導するBreakthrough Energy Venturesなどが名を連ねており、技術革新に対する期待の高さがうかがえます。

Airloomによれば、設置コストは従来型の約10分の1であり、土地を含めた風力発電所全体のコストは約4分の1になるとされています。
そして、設置・工事・材料費などの初期コスト、運転・維持のコスト、設備の廃棄コストなど、全コストを生涯発電量で割ることで算出される「LCOE(均等化発電原価)」は、従来の風力発電の約3分の1に抑えられると試算されています。