理由の2つ目は「何をすれば予防になるのかわからない」という知識不足も大きいと思っている。自分の市場価値を高めれば待遇改善、収入増加が見込めると言われても「具体的に自分の場合はどんなスキルをどのように獲得すればいいか?」を突き詰める必要がある。だが、実際にはなかなかリサーチまで届かない。

理由の3つ目は変化を嫌うからだ。地方の企業には未だにFAXを仕事で活用する会社が少なくない。顧客へのマーケティングにFAXでのDMを送るのだが、これを続けてもFAXを使う家庭の減少とともに確実にジリ貧になる。しかし、「インターネットでのマーケティングに乗り出してうまくいかなかったらどうしよう」と変化を恐れて、昔からずっと続けているやり方を踏襲してしまうのだ。

「予防思考」になる方法

ではどうすれば、対処療法ばかりではなく予防する思考になれるのか?

1つ目は現状把握である。そもそも、自分がやっていることが対処療法なのか?それとも予防策を打てているのか?を把握することがファーストステップだろう。降ってくる仕事を頑張って捌くだけの日々になっているなら、予防策を打てていないことを疑い、付加価値を高めるスキルアップを考えるべきだ。

2つ目は知識のアップデートだ。対処療法しかしない人は勉強不足であることが少なくない。上述した「FAXでのDMしか売り方を知らない企業」の話を聞けば、インターネットでのマーケティングを勉強するべきだと誰でもわかるはずだ。今はどんなビジネスが主流で、どんな技術が使われ、何がトレンドか?ということが理解できれば、「それじゃこれをやってみよう」とこれまでにない施策を打つことができるだろう。

3つ目はスモールスタート、という技術を持つことである。対処療法から抜けられない人は往々にして「大きく始めようとする」傾向がある。しかし、新しい取り組みは失敗する確率の方が高い。いきなり大きく初めて失敗すれば、「やはり思い切った挑戦はリスクが大きい」と及び腰になる。そのため、まずは小さく初めて自分への適正を見極めるスモールスタートでやるべきだ。