1877年に始まり、四大大会の中でも最も長い歴史を持つ大会「ウィンブルドン選手権」。最大の特徴は4大大会唯一の「芝コート」である点。ボールが不規則に弾むことで、サーブ&ボレー型や俊敏なフットワークを持つ選手に有利とされる。白のウェア着用義務や“ロイヤルボックス”など、伝統を重んじる姿勢も他大会とは一線を画す。今年もまた、この独特の雰囲気が世界中のテニスファンを魅了する。

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【男子シングルスの優勝候補】
 真っ先に挙げたいのが現在2連覇中、今年3連覇を目指すカルロス・アルカラス(スペイン)。俊敏性と強打の両立に加え、芝でも自在にネットに出られるオールラウンダー。2023年、2024年と2年連続決勝でジョコビッチを破っている、その「前例」は自信に変わっているはずだ。

 対抗に挙げたいのは、やはり今年もノバク・ジョコビッチ(セルビア)だろう。“芝の皇帝”は今年も健在。2024年に左膝手術を経て復帰したが、経験と芝への適応力は他の追随を許さない。2018‐2022に4連覇するなど、この大会は優勝7回を誇り、今年優勝すればロジャー・フェデラー(スイス)が持つシングルス最多勝に並ぶ。

 世界ランキング1位のヤニク・シナー(イタリア)も強力な対抗馬だ。昨年全豪で初優勝するなど年間8勝を挙げた。パワフルなベースラインプレーに加え、芝での対応力も年々向上。冷静な試合運びで、芝制覇への準備は整っている。

【女子シングルスの優勝候補】
 2016年にセリーナ・ウィリアムズが7回目の優勝を遂げて以降、2017年‐2024年まですべて初優勝と、女子戦線は群雄割拠。

 この中で2度目の優勝を狙えそうなのが、2022年ウィンブルドン女王のエレーナ・リバキナ(カザフスタン)か。2024年も準決勝まで進出したが、バルボラ・クレイチコバ(チェコ)にセットカウント1 – 2で逆転負け。クレイチコバはその勢いのまま決勝でジャスミン・パオリーニ(イタリア)を破り優勝している。今年こそリベンジ、の想いは強いだろう。180cm超の長身から放たれるサーブと、フラットなストロークが芝に適している。ケガさえなければ優勝候補の筆頭。