このメカニズムには、ビタミンK依存性タンパク質が関与しており、これがビタミンKの摂取によって活性化されることで血管内にカルシウムが蓄積するのを防ぎます。

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緑の葉物野菜に多く含まれるビタミンK1がASVDの予防に役立つかも / Credit:Canva

そこで研究チームは「食生活、特にビタミンK1の摂取が高齢女性のASVDの発症や進行にどう影響するのか」を検討するため、長期にわたる観察研究を実施しました。

研究では、平均75歳のオーストラリア人女性1436人を対象としました。

彼女たちの食生活は、信頼性の高い食物摂取頻度質問票(FFQ)によって詳細に記録され、1日あたりのビタミンK1摂取量が算出されました。

そして約14.5年間にわたり、頸動脈の厚さ(動脈硬化の進行指標)や、心筋梗塞・脳卒中などの重大な心血管イベント、さらにはASVDによる入院・死亡リスクなどを、西オーストラリア州の医療記録と死亡記録を用いて追跡しました。

では、ビタミンKの摂取とASVDにはどんな関係があったでしょうか。

ビタミンK1を十分に摂取している高齢女性はASVDの死亡率が43%も低かった

調査の結果、1日あたりのビタミンK1摂取量が最も多かったグループ(中央値119μg/日)は、最も少なかったグループ(49μg/日)に比べて、頸動脈の厚さが約5.6%薄く、動脈硬化の初期段階が抑制されていました。

また、追跡期間中のASVDによる死亡率は、ビタミンK1摂取量が多いグループで43%も低下していました。

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ビタミンK1を多く摂取する高齢女性では、ASVDによる死亡リスクが劇的に下がっていた / Credit:Canva

研究チームは次のように述べています。

この研究では、オーストラリアの食事ガイドラインで現在推奨されている量より、約30%多くビタミンK1を摂取した女性は、ASVDの長期リスクが低いと分かりました