日本企業も海外にインフラを輸出
もっとも、すでにインフラや公共事業を担う事業者のなかには、外資系企業を株主に持つ事業者は少なくない。国内の航空業界で使用される航空機の多くが米国のボーイングやエアバスなど外資系企業のものであるし、個人や企業が使う生成AIモデルも、多くの場合、米国テック企業が運営するクラウドサービスのプラットフォーム上で動いている。
「例えば日立製作所はアジアや欧州の各国に鉄道インフラを輸出していますが、輸出先の国で経済安保の危機だという話にはなっていません。また、国内の公共施設にフジテックのエレベーターが数多く導入されているとは思われますが、日本の設備会社やインフラ関連のメーカー、工事事業者のなかには外資系企業・ファンドを株主に持つところは珍しくなく、だからといって現在、日本経済が危機に陥っているということはないでしょう。また、何千社もある上場企業のうちのわずか一部が外資系企業に支配されたからといって、日本の経済安保が危機に陥るとは考えにくいです。
もっとも、防衛やITの領域に関していえば、経済安保の観点から注意すべきであると考えます」(鈴木氏)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表)