品性ある対応をすることで、ただ相手を打ち負かせるだけでなく、周囲の支持を得られる。特に、社会的に立場が上の人ほど、周囲は品性ある大人な態度を期待する。攻撃的な相手に感情的に反応し、わざわざ自分が下に降りて争えば、その時点で負けが確定してしまうわけだ。

有名インフルエンサーの中にはとても上手にこれをする人がいる。たとえば「お前はわかってないね」「そういうところがダメ」と上から目線で批判されたら、「なるほど、勉強になります」や「そういう見方もありますね」とテンプレ対応をしている。まさしくこれがベストな対応だろう。

ポイントは、相手を積極的に肯定も否定しないことだ。正面からぶつからず、かれいに交わす。イメージ、闘牛士が怒り狂う牛を赤いマントでひらりと交わすようなものだ。攻撃者も積極的に反論されているわけでもなく、相手もケンカを勝ってくれないから相手は空振りし、どこか間抜けに見えてしまう。

自分でもカッコ悪いことがわかっているから黙ってすごすごと退散し、周囲は「さすが大人の対応だ」と称賛するのだ。

相手のペースに乗らない

攻撃的な人は相手を煽り、自分のペースに引き込むことで優位性を保とうとする傾向がある。しかし、こちらがそのペースに乗らず、品性ある態度を維持すれば相手は勝手に自滅する。攻撃的な人ほど精神的に脆い場合が多く、精神的に脆いがゆえに最初から火力全開で挑んでくる。そこで高い品性がその弱点を突く武器となるのだ。

筆者もこの心理学を学んだことで、リアルでもネットでも相手が怒っている時ほど、スーッと鉄が氷で冷えていくように逆に気持ちが冷静になるようになった。

ケンカ、というのは一方的に怒り続けることはできない。相手も同じレベルに脳が沸騰しなければ成立しない。だがこちらはその手に乗らず、あくまで冷静に対応し続ければいい。

そうすれば、相手は怒り続けることができなくなり、エネルギーが切れたところでサッと幕を下ろせば戦いは終了する。戦わずして勝つわけだ。