チームはさらに、「おせっかいな同僚」が実際にどのような影響を他の社員に与えるかを調べました。
その結果、詮索行動が多い職場では、社員が情報を他人に伝えたがらなくなる――いわば“情報のシャッターを下ろす”傾向があることがわかりました。
詮索好きな同僚に囲まれた人は、仕事上の知識共有も避けるようになります。
これはただの人間関係の問題にとどまらず、チーム全体のパフォーマンス低下につながる深刻な問題です。
さらに、詮索行動が日常化している職場では、従業員のストレスレベルが明確に上がっていました。
「どこまで話してもいいのか」「言ったことが尾ひれをつけて広がるのではないか」といった不安が、慢性的な緊張や心理的疲労を生むのです。
興味深いことに、こうした職場には「他人より優位に立とうとする競争的な雰囲気」があることも多く、詮索行動が“情報戦の武器”として機能している可能性すら示唆されています。
加えて、年齢層によって行動傾向にも違いが見られ、若い世代の方が詮索行動に積極的であるという結果も報告されました。
これは世代間の価値観や、SNS文化の影響を反映しているのかもしれません。

チームは、こうした研究を通して「詮索行動は、たとえ悪意がなくても人間関係を壊しかねない危険な行為」だと警鐘を鳴らしています。
調査では同時に、信頼される上司が存在することで、詮索行動による悪影響はある程度緩和されることもわかってきました。
上司が誠実で部下に配慮のある態度をとることで、職場内の人間関係における安心感が生まれ、自然と知識共有が促進されるのです。
職場という空間は、あくまで仕事のための場であり、誰もが安心して仕事とプライベートの境界線を保てる場所であるべきです。
たとえ“ちょっと気になる”という気持ちがあっても、相手のパーソナルスペースを尊重することは、信頼関係と健全なチームワークの第一歩なのかもしれません。