性別や年齢など人口構成比を反映するよう調整された構成で、正規・非正規雇用者、フリーランスなど多様な就労形態を含んでいます。
調査票では、過去4週間に仕事に支障をきたした健康問題の有無や症状、影響の度合い(パフォーマンス低下)について11段階で自己評価する形式が取られました。
さらに年収データと合わせて、症状別の労働生産性損失額が試算されました。
3分の1が健康問題を抱えている!1000人あたり年間6500万円の損失
調査の結果、全体の35.6%の労働者が、過去4週間に健康問題で仕事の質・量が低下したと回答しました。
最も多く挙げられたのは「腰痛(6.66%)」で、次いで「首・肩こり(4.79%)」、「メンタルヘルスの不調(2.85%)」が続きました。
これらの症状は年齢層によって偏りがあり、20代ではメンタルヘルスが最も多く、30代は首・肩こり、40代以降では腰痛が最多となりました。
テレワークの導入状況によっても傾向に差が見られ、「コロナ禍以降にテレワークを開始した層」では「眼精疲労」が上位に入り、働き方の変化が新たな健康負荷をもたらしていることが示唆されました。
また、性別による違いも明らかで、男性は腰痛と肩こり、女性は肩こりと頭痛が上位に挙げられました。

こうした健康問題による経済的な影響も極めて深刻です。
1,000人あたりの年間生産性損失額は、腰痛で約6,480万円、首・肩こりで約4,600万円、メンタルヘルス不調で約4,340万円と推計されました。
これらの数字は、「見えない損失」が企業経営に与える影響の大きさを物語っています。
もちろん今回の研究にも限界があります。
本研究はインターネット調査であることから、自己申告による過小・過大評価の可能性があります。
しかしながら、1万人という大規模かつ全国的な標本に基づいており、年齢・職種・勤務形態・テレワークの有無などを考慮した結果は高く評価できます。