同抗議デモに参加した一人のジャーナリスト、サイデ・ファティ(SaeedehFathi)さんは2022年10月16日、警察当局によって逮捕され、「エヴィン刑務所」に拘束された。2か月後釈放され、ウィーンで現在、フリー・ジャーナリストして活躍している。ファティ女史はエヴィン刑務所での体験談をオーストリアの日刊紙「スタンダード」(6月28日付)に寄稿した。
「エヴィン刑務所」がイスラエル軍の空爆で破壊されたというニュースを聞いた時、同刑務所で収容されていた日々が蘇ってきたという。同刑務所にはペルシャ語と英語で「エヴィン拘置所」(Evin House of Detention)と書かれた看板が掛かっている。イラン国民は誰でも知っている名称であり、同時に恐れている場所という。
ファティさんは「エヴィンは普通の拘置所ではなく、イラン共和国の抑圧装置の典型的な場所だ。そこでは反体制派の活動家、ジャーナリスト、デモ参加者が収容されている」という。同女史が収容された日の夜、8人の囚人が亡くなったという。
ファティさんの知り合いによると、イスラエル軍の空爆で鉄の門は壊れ、建物も破壊されたという。イランのメディアによると、イスラエル軍の空爆で16人が殺害されたが、囚人の中には死者はなく、負傷者だけだったという。エヴィンの囚人は別の刑務所に移されたという。ちなみに、国連人権理事会はイスラエル軍の刑務所空爆を国際法違反として批判している。
ファティさんは最後に、「刑務所を釈放されて以来、まだ拘留されている人々のことをいつも思い出してきた。刑務所の鉄の戸が開き、罪のない彼らが釈放される日が到来することを願ってきた。イスラエル軍の空爆ではなく、私たちの手で圧制の壁を壊さなければならないのだ」と書いていた。
IRNAによると、テヘランで28日、イスラエルの攻撃で殺害された精鋭軍事組織「革命防衛隊」や軍の幹部、核科学者ら約60人の葬儀が行われた。葬儀にはペゼシュキアン大統領やアラグチ外相らも参列した。イラン当局はイスラエル軍との戦闘を「勝利した」と豪語し、国民に結束を呼び掛けている。