着心地×効果で「眠る環境」を最適化する

 TENTIALでは現在、「血行促進」だけにとどまらない、より総合的な“睡眠環境の最適化”を目指した製品開発に取り組んでいるとのこと。

 たとえば、発汗コントロールや寝返りをサポートする構造の研究など、「ただ着るだけ」ではなく「睡眠環境を整えるウェア」としての進化を続けている。こうした進化のきっかけとなったのが、実際に商品を使用したユーザーの声なのだそう。

「弊社は健康に気を遣う30代~50代の男女ユーザーから主に支持をいただいていますが、販売を開始してみると、自分用だけでなく“健康を気遣う相手へのプレゼント”としてのニーズが非常に高いことに気づかされました。

 そこから“パジャマを贈る”という新しい需要に着目し、母の日や父の日、退職祝いといったギフト需要に向けた展開を強化していきました。これまで睡眠関連の市場は枕やマットレス、掛け布団が中心でしたが、機能性パジャマの領域は手つかずの状態だった。そこにあえて挑戦したのが『BAKUNE』シリーズなのです」(同)

 こうしたチャレンジを支えているのが、ユーザーの声を素早く製品改善に反映させる、TENTIALならではの“高速開発体制”だ。

「パジャマ選びで“着心地”を重視する方は多いものの、リカバリーウェア市場ではそのニーズが軽視されがちです。弊社ではそこに注目し、アスリート1000名以上や、一般ユーザーからフィードバックを収集し、そうしたお客様の声を即時に開発へ反映させています。2024年9月に『第二種医療機器製造販売業許可』を取得し、自社での製品届出が可能となったことで、開発スピードと製品の信頼性はより一層向上しました。

 現在では、生地の特性に合わせてラインナップを細分化し、首周りや肩の可動域、ズボンの紐の形状など、細部にまでこだわった設計を徹底。ユーザーのニーズに合った選択肢を提供することが、高い評価へとつながっていると考えています」(同)

 さらにTENTIALの製品は、個人ユーザーだけでなく、企業や自治体など多方面での活用が広がっている。

「たとえば、空港や飛行機内での利用、ホテルのアメニティとしての導入も進んでいます。利用者にはビジネスパーソンが多く、出張や長距離移動におけるコンディション管理のニーズが高いことから、移動中でも快適に過ごせるリカバリーアイテムのラインナップを強化しています。ANAのビジネスジェット機内でも採用されるなど、実用性を評価いただいているのです。

 また、地域との取り組みにも力を入れており、静岡県三島市には、市の抱える睡眠課題を解決する『睡眠改善サポートプログラム』を提案しました。実証で一定の示唆を得られたこともあり、同市が掲げる『スマートウエルネスみしま』構想に、当社のコンディショニングの知見を活かすかたちで協力していくことが決まり、正式にコンディショニング協定を締結するに至りました。今後は今まで以上に睡眠への理解を深める社会活動をしていきたいと考えています」(同)

――「BAKUNE」シリーズをはじめとしたTENTIALの製品は、着ることで睡眠環境を整えるという新たな選択肢を提示している。科学的な根拠とユーザーの声をもとに改良を重ねながら、個人だけでなく企業や自治体との連携にも広がりを見せており、今後の展開にも注目が集まりそうだ。

(取材・文=A4studio)