法人所得は帳簿上の利益なので、操作しやすい。日本の企業の7割は赤字法人で、大企業の空洞化の原因になっている。法人売上税になると、そういう法人税の「鞘取り」はできなくなる。製品を輸入して販売したら、消費地の国内で課税されるからだ。

課税対象をキャッシュフローに統一し、金利にも配当にも課税すると、銀行貸し出しは減るが、株式投資は促進される。

投資のキャッシュフローは一挙に生じるが、減価償却はそれを期間配分して課税するので、企業の純利益を大きく左右する。法人所得税は税務当局の裁量も大きく、租税特別措置のほとんどは償却を大きく認めて税額を減らすものだが、このような抜け穴もなくなる。

ただ税金のごまかしができなくなるので、自民党の集票基盤である中小企業が強く反対するだろう。だからこの改革は政治的には困難だが、日本経済を衰退させるゾンビ企業を淘汰するためにも必要なのだ。