そんななか、深海調査を行うための船舶や機器を多数保有するJAMSTECは、沖合海底自然環境保全地域における生態系モニタリング調査を環境省からの委託業務として実施しています。

5つの航海で明らかになったこと

JAMSTECは、2020年と21年に海底広域研究船「かいめい」、2022~24年に深海潜水調査支援母船「よこすか」で、指定された4つの沖合海底自然環境保全地域における生態系調査を実施。

5つの航海、58日間におよぶ調査では、無人探査機や有人潜水調査船「しんかい6500」など様々な調査機器が用いられました。

15種の新種を発見

各調査海域の生物多様性を明らかにすべく、採集された動物の同定も行われています。

分類学的な同定の結果、19の動物門からなる約500種の動物が見い出され、これまでに15種の新種が報告。なお、このうち14種が2020年、21年に実施された航海で採集された動物ですが、これは新種記載には長い時間を要することに起因しています。

「深海に7000年生きるサンゴがいた!」日本の海の保全エリアで15種の新種を発見調査船(提供:PhotoAC)

また、15種の新種以外にも数多くの希少種が見つかっており、日本初記録の種も少なくありません。

魚類においてはカクレカサゴやウラシマチョウチョウウオなどの希少種ほか、2024年に標準和名が提唱されたカガリビマトウダイ、深海のトッププレデターとして話題になったヨコヅナイワシなどが発見されています。

推定年齢7000歳のサンゴ群体?

中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部沖合海底自然環境保全地域の水深525m、西マリアナ海嶺の頂上部付近からは、通常の数倍の大きさもあるツノサンゴ類の1種の群体が見つかっています。

高さ約308cm、幅が約441cm、基部の直径が28cmに達するこの群体は、過去の研究による推定成長速度(年間0.02mm)をもとに算出すると、推定年齢がなんと7000年であることが分かったのです。

この群体は、地球上で最も長寿の可能性がある海洋生物とされています。

今後も調査に期待