そして、AIを評価する上で忘れてはいけないのが、AIはある種の残酷さを伴っていることだ。AIは質問者に対して正直にありのまま評価と現実を突きつける。巨大なデータコンソールとして現実をありのままに見せる正直さがAIには、ある。

AIとやりとりをしてると、まるでチャットで誰かと会話してる気になってくるが、AIは質問者を否定することはない。必ず、質問者の意図を肯定し受認しそれに見合う回答を整理して提供してくれる。徹底して質問者の味方であり、徹底して質問者をサポートしてくれる。

SNSはエコーチェンバー現象が起きやすいが、AIはまさに究極のエコーチェンバーとも言える。

ところがSNSのエコーチェンバーとの違いは、AIはビッグデータを元に、合理性と実際のデータに基づいた回答の為、質問者の意図を汲み取りつつ、事実を突きつけることにのみ、徹底的に拘る。

そして、このAIが突きつける現実こそが誰もが持っている陰謀論への夢を見事に打ち砕く破壊力を持っている。陰謀論にとって最も大事な客観性のある存在証明の不在を否定する。

存在証明が出来ない、或いはその存在証明自体が曖昧さを伴うからこそ、陰謀論は陰謀論として屹立していられるのに。

陰謀論は存在すると言う証明を誰も出来ないから陰謀論なのであって、AIは網羅的に陰謀論で言われる言説がある前提で説明するし、説明しようと努力する。言い換えれば、「確たる証明がなされていないと言う証明を行っている」のだ。これ、凄く大事な点だと思う。

陰謀論大好きな人は、陰謀論の中身について、少し合理的な解釈をする必要があるだろう。陰謀論を信じている自分は、「私しか知らない、或いは私のような人しか知らないこと」を信じることで自己自身の存在理由にしてると思うけど、誠に残念だが、あなたが信じる世界の陰謀論は「陰謀論」である時点で、その存在は証明されないことが証明されていると解釈すべきではなかろうか。