初版は1907年の刊行なので現存しているものは極めて少なく貴重な一冊です。三上延著の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズでも「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ ~扉子たちと継がれる道~」でキーとなる本として登場してきます。

内坪井の旧居を離れ、東に行くと熊本を代表する神社である藤崎八旛宮のすぐ近くに夏目漱石第六の旧居があります。内坪井の旧居の次に漱石が住んだ住居です。

こちらは今は一般の民家となっており入ることができず、中をのぞくのみしかできませんでした。

が、ここにもやはり猫がいました。夏目漱石=猫の無意識にこの町についているのかもしれません。漱石はここで熊本滞在最後のときを過ごしたのち、文部省より英国留学の命を受けてロンドンに旅立っていきました。

藤崎八旛宮

散歩の最後は藤崎八旛宮へ。1000年もの昔からある熊本の総鎮守であり、もとは熊本城の西、茶臼山と呼ばれる台地にありましたが、西南戦争で焼失したためやや郊外の現在の場所に移りました。旧社地は藤崎台野球場となっています。漱石が熊本に来たときには現在の場所に神社は移っており何度か参詣されたのではないかと思います。

上熊本駅で夏目漱石像を見つけ、思いつきで歩いた漱石散歩。下調べをしていれば彼が教鞭をとった五高記念館も訪ねたと思うのですが、思い浮かばず訪ねることができませんでした。次の訪問の楽しみに取っておこうと思います。

熊本城がひと際目立つ観光地になっていますが、その近くでひっそりとたたずむ夏目漱石所縁の地を静かに歩く旅も悪くないと思います。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年6月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。