「官公庁」と聞くと、非常にお堅いイメージを連想する人も多いはず。

しかし現在ネット上では、税関のX公式アカウントが投稿した動画のBGMに「ギャップがすごい」と、驚きの声が多数寄せられているのをご存知だろうか。

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■微笑ましい動画、なぜかBGMが…

ことの発端は、税関イメージキャラクター「カスタム君」のXアカウントが10日に投稿したポスト。

「庁舎公開に来てくれてありがとうワン! ボク達に会いに来てくれて、とても嬉しかったワン」と、イベント来場者へのお礼のメッセージが綴られた投稿には、4体のカスタム君が横並びになり、全身で喜びを表現する動画が添えられていた。

なんとも微笑ましい光景だが…なぜか動画を再生すると、疾走感あふれる変則的なドラムビートのBGMが流れ出したのだ。

■全国のDJから「素晴らしい」の声

当該の動画内で使用されているBGMは「ドラムンベース」と呼ばれる電子音楽、およびダンスミュージックのジャンルである。

1990年代半ばに誕生したドラムンベースは高速かつ複雑なブレイクビーツサウンド、重低音を強調した音づくりが特徴的。長年に渡ってミュージシャン、DJに愛され、クラブ文化を盛り上げてきた。

そんなドラムンベースが「官公庁(税関)の公式動画に採用された」という事実はダンスミュージックの愛好家たちに、ビッグ・ビートのような衝撃を与えている。

7,000件近いリポストを記録した同ポストには、「BGMが良すぎる」「ガチガチのドラムンベースで笑った」「政府機関がSNS発信時に使うBGMではない。カッコよすぎる」「Aphex Twinかと思った」「ほのぼのした光景のはずなのに、ゴリゴリのドラムンベースで緊張感たっぷり」といった声が多数寄せられていた。正に「バカうけ」である。

「SNS担当者の趣味では?」という推測も見られたため、今回は同BGMを採用した経緯をめぐり、「横浜税関」に詳しい話を聞いてみることに。するとドラムンベースの発展系「ドリルンベース」並に衝撃的な事実が、多数明らかになったのだ…。

■それにしてもこの税関、ノリノリである

横浜税関の本関庁舎は歴史的建造物として親しまれ、創建当時の状態に復元した部屋などを年に数回、広く一般の人々に公開している。

その際は「税関」に興味を持ってもらえるよう、カスタム君とのグリーティングや、麻薬探知犬のデモンストレーションなどのイベントを多数開催しているのだ。

ちなみに、カスタム君は9つ存在する各税関ともに個性豊かなものとなっている。

カスタム君
(画像=『Sirabee』より引用)

6月7日に行われた庁舎公開では、目玉イベントとしてその個性を発信しようと、4つの税関からカスタム君を集合させ、グリーティング&税関クイズ大会が行われた。その際の様子を収めたものが、今回話題となった動画というワケである。

動画投稿の背景について、横浜税関の担当者は「グリーティングの合間を縫って撮影したもので、来庁された方々に感謝の気持ちを伝えたい、ご都合が合わず来庁頂けなかった方々にもカスタム君の魅力を伝えたいなと思い、作成・投稿いたしました」と、説明している。

最大の注目ポイント「BGMの選曲」について尋ねたところ、こちらは動画編集ソフトにプリインストールされているものを採用したと判明。

選曲の経緯について、担当者は「私は普段はいわゆる『ドラムンベース』というジャンルの音楽は聴かないのですが、かわいいカスタム君の映像に、疾走感のあるサウンドを組み合わせることで、音源無しで見たらかわいらしく、音源ありで見たら映像とのギャップでフォロワーの方にクスッと笑ってもらえるのではないかと思い、選曲しました」と説明している。

カスタム君
(画像=『Sirabee』より引用)

なお、完成した動画を見た上司や同僚らは爆笑していたそう。担当者本人は「ここまで反響があるとは想定していなかったので、正直驚いています」とコメントしていた。それにしても横浜税関、ノリノリである。