3度熱傷が体表面の24%以上に及ぶと、即座に治療を受けない限り致命的になる恐れがあります。

これらの距離は天候だけでなく、着ている服の色にも左右されます。白い服は爆風のエネルギーを多少反射しますが、暗い色の服は吸収してしまいます。

とはいえ、爆心地近くの人々にとっては、こうした差はほとんど意味を持ちません。

1メガトンの核爆弾の中心部では、温度が摂氏1億度近くに達すると推定されており、これは太陽の中心温度の約5倍です。

これは人間の体を即座に炭素などの基本的な元素へと還元してしまうほどの熱量です。

風と圧力、そして「死の灰」

爆発による影響は、光と熱だけではありません。

核爆発は周囲の空気を一気に押し出し、凄まじい衝撃波(爆風)を生み出します。

1メガトンの核爆弾であれば、爆心地から6キロメートル以内にある2階建ての建物の壁には、180トンもの力がかかるといわれています。

風速は時速255キロメートルに達し、人間の体は立っているだけで吹き飛ばされ、建物は容易に倒壊します。

さらに1キロメートル以内ではその圧力は4倍、風速は驚異の時速756キロにも達し、事実上その範囲内での生存は不可能と見なされています。

人体そのものはこの圧力に耐えることができたとしても、周囲の瓦礫や倒壊した建物に潰されて命を落とす可能性が高いのです。

そして、生き延びたとしても最後に襲いかかるのが「放射線被曝」と「死の灰」です。

広島と長崎では、爆弾は地上ではなく空中で爆発したため、地表の物質が放射化されて高空に飛散することは比較的少なかったとされています。

ですが、もし爆弾が地上で爆発していたら、大量の放射性物質が上空に巻き上げられ、風に乗って広範囲に拡散する事態になっていたでしょう。

この「死の灰」は数時間から数日後に地上へと降り注ぎ、人々を長期的に被曝させる恐れがあります。

さらに研究によれば、アメリカとロシアの全面核戦争が起こった場合、放出される煤(すす)や煙によって地球は「核の冬」に突入し、気温が急激に下がることで作物が育たなくなり、数十億人規模の飢饉が引き起こされる可能性もあるとされています。