泥のような「柔らかく変形しやすい地面」では足が沈んでしまい、抜くときに引っ張られるため、自然と歩幅が変化するためだと考えられます。

これらの影響が、恐竜の足跡に残された情報に「スピードの錯覚」を生じさせていたのです。

研究チームは、「恐竜の化石足跡も同様の誤差を含んでいる可能性が非常に高い」と警告しています。

つまり、これまで足跡を根拠に「走っていた」「獲物を追っていた」とされてきた恐竜の多くが、実はただ「歩いていた」だけかもしれないというのです。

これは、過去に行われたスピードや行動の再構築を、根本から見直す必要があることを示唆しています。

今後、恐竜のスピードや行動をより正確に理解するためには、柔らかい地面での動物の動きをもっと多く検証していく必要があります。

そして、計算式だけに頼らず、実験と観察による検証を重ねていくことが不可欠です。

この研究は、恐竜のダイナミックなイメージに新たな視点を投げかけてくれました。

今後も科学は、恐竜の姿をいっそうリアルに映し出していくことでしょう。

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参考文献

Dino-slow? Dinosaurs may not have run as fast as we thought
https://www.scimex.org/newsfeed/dino-slow-dinosaurs-may-not-have-run-as-fast-as-we-thought

Dinosaurs may have been 4x slower than we’ve been led to believe
https://newatlas.com/biology/dinosaurs-slow-tracks/

元論文

Speed from fossil trackways: calculations not validated by extant birds on compliant substrates
https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0191