では、なぜ陸上脊椎動物の中でヨルトカゲだけが、この破局を乗り越えることができたのでしょうか?

チームは、その明確な理由をまだ断定はしていませんが、ひとつの有力な仮説を提示しています。

それはヨルトカゲの「超低燃費な体質」です。

彼らは非常に小型で、代謝がきわめて遅く、あまり頻繁に食事を必要としません。

さらに、岩の隙間や倒木の下など、限られた環境にひっそりと棲む隠密な習性をもっています。

隕石衝突後の地球は、広範な山火事、太陽光の遮断、気温低下、そして植物や昆虫の大絶滅による食料不足が続いたと考えられています。

そんな極限状態においても、エネルギー消費を最小限に抑えて生きられるヨルトカゲの生態は、大きなアドバンテージになったと考えられます。

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ヨルトカゲの一種/ Credit: ja.wikipedia

実際、研究者も「彼らは衝突地点の周縁部に広く分布していたはずです。たまたま生き延びたのではなく、生き延びやすい性質を持っていた可能性が高い」と語っています。

かつては同じように生き延びた可能性のあるカメや他のトカゲも存在したかもしれませんが、それらはすでに絶滅してしまいました。

ヨルトカゲだけが、その後も今日に至るまで北中米という土地にとどまり、生き残り続けてきたのです。

「絶滅を免れた動物」は他にも多く存在しましたが、「滅びの地にとどまり続けた動物」は、ヨルトカゲだけかもしれません。

時に、最も静かで目立たぬ存在こそが、最も壮大な物語を語るのです。

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参考文献

Tiny night lizards survived dinosaur-killing asteroid strike, despite being close enough to see it happen
https://www.livescience.com/animals/lizards/tiny-night-lizards-survived-dinosaur-killing-asteroid-strike-despite-being-close-enough-to-see-it-happen