今から約6600万年前、地球に直径10km以上の巨大隕石が衝突し、恐竜をはじめとする多くの生物を死滅させました。
当時の地球にいた生物種のおよそ75%が姿を消したとされます。
しかし、そんな“死の中心地”とも言えるメキシコ・ユカタン半島の近くで、とある小さなトカゲが奇跡的に生き延びていたことが、米イェール大学(YU)の最新研究で明らかになったのです。
その生き残りの主は「ヨルトカゲ(Night lizard)」と呼ばれる夜行性の爬虫類。
彼らはまさに隕石が落ちた地域の近くで暮らしていたにもかかわらず、今日に至るまで生き続けていたのです。
いったい、どうやって?
研究の詳細は2025年6月25日付で科学雑誌『Biology Letters』に掲載されています。
目次
- 隕石衝突を生き延びたヨルトカゲ
- なぜ生き残れたのか?
隕石衝突を生き延びたヨルトカゲ

研究チームは今回、現生する3属のヨルトカゲ(Xantusia、Lepidophyma、Cricosaura)を対象に、DNA情報をもとにした進化系統の再構築を行いました。
その結果、驚くべきことに、現在生きているヨルトカゲの共通祖先は、白亜紀後期(約9000万年前)にはすでに北中米に存在していたことが明らかになったのです。
つまり、恐竜が絶滅したあの隕石衝突(約6600万年前)よりも前から、彼らはメキシコ周辺に生息していたというわけです。
そして研究者たちは、ヨルトカゲのうち2つの系統が、この地球規模の破局を生き延びていたことを発見しました。
ひとつの系統は、アメリカ南西部からメキシコにかけて分布するXantusia属と北中米に広がるLepidophyma属へと進化。
もう一方の系統は、キューバに生息する唯一の種「キューバヨルトカゲ(Cricosaura typica)」へと進化を遂げました。
この発見は、ヨルトカゲが隕石の衝突地点近傍で生き延び、いまなおその地域に固有種として存在している唯一の陸上脊椎動物であることを意味しています。