JR北海道とJR四国の鉄道事業を黒字に転換させることは困難

 なかでもJR北海道の経営不振は深刻だ。国から24年度からの3年間で1092億円の支援を受けることが決まっており、すでに支援を受けているが、営業利益の赤字額は400億円超に上る。JR北海道自身が「単独では維持困難」とする赤字8線区など、経営の健全化に向けて足かせとなり得る路線をどのように見直していくのかが大きな課題だ。北海道新幹線の札幌延伸までは多額の建設費も経営を圧迫する。では、JR四国とJR北海道が営業利益を黒字に転換させるなど、経営を立て直す施策はあるのか。

「JR北海道、JR四国の鉄道事業を黒字に転換させることは非常に困難です。JR九州は上場前までは鉄道事業の営業収支が悪く、営業利益を出したことはありませんでしたが、徹底的な経費削減によって成し遂げました。とはいっても、上場前も毎年あと一歩で営業利益が出るという状況でしたから、JR北海道やJR四国に同じことを求めるのは非現実的です。営業費の削減に効果があるのは、利用者の少ない路線の廃止ですが、そう簡単にはいかないでしょう。

 JR北海道、JR四国の営業エリアとも、一部の都市を除けば沿線の人口が今後大きく増える見込みはないといえます。そうなりますと、少ない利用者数で営業収益を増やすためには運賃・料金の値上げしか残されていません。しかし、24年度の旅客1人当たりの営業収益は利用者数が3億3182万人であったJR九州が503円であったのに対し、1億2591万人のJR北海道は721円、4004万人のJR四国は760円とすでにJR九州よりも高くなっています。これ以上の値上げは相当な割高感と旅客には受け止められ、利用が大きく減る恐れがあります。両社が鉄道事業で営業利益を計上するには、利用者の少ない路線の廃止を進めつつ、小幅な値上げを行うしか方策はないと考えます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)