本日は伊豆大島に伺い、島民の皆さまに「医療費の窓口負担を引き上げることについて賛成か、反対か」を率直にお聞きしました。

「島の診療所に行くのに、介護タクシーを呼ぶと往復8,000円くらいかかる。そのうえで、さらに医療費まで負担が上がったらとても耐えられない」
「大きな病気になったら本土の病院まで行かないといけない。医療費そのものというより、その移動にかかる負担が厳しいので、現状で医療費の上乗せは難しい」
こうしたご意見を複数の方からいただき、改めて現場での切実な声の重要性を痛感しました。
医療費を一律3割負担にする目的の一つは、頻回受診を抑えて医療費の膨張を防ぐことにあります。
しかし、伊豆大島のように医療アクセスそのものが厳しい地域では、頻回受診どころか「診療を受けること自体が一苦労」という現実があります。
こうした地域で、医療費負担を上げても受診抑制の効果は見込めないでしょう。
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それでも、私は「では払える人に『だけ』3割負担を求めよう」という制度設計は望ましくないと考えます。
なぜなら、
「誰が払える人なのか」 「どこから負担を上げるのか」
という基準作りは極めて困難で、個別の例外や配慮を積み重ねるうちに制度は骨抜きになり、結局これまでと何も変わらなくなってしまうからです。
重要なのは、原則と例外の整理です。
すべての人が等しく社会保障を支える「原則」をまずは確立する。
そのうえで、生活環境や経済状況に困難がある方に対しては「例外」として、きちんと救済措置を設ける。
これが、本来の公平で持続可能な医療制度の在り方だと私は考えています。
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例えば具体的には、「1割負担の据え置きを希望する人のみが資産テストを受け、認定されれば例外的に1割負担のままでよい」という仕組みは現実的なアイデアの一つです。
これであれば、「すべての人が国に資産を把握されて、いずれ課税されるのではないか」というプライバシーや将来への不安も払拭できます。