米軍が21日(日本時間22日午前)、イランの3か所の核施設を空爆したことで、イスラエルとイラン間の戦争は米軍の参戦で、「歴史的転換点」(イスラエルのネタニヤフ首相)を迎えた。同時に、戦争が中東全土に拡散することを阻止するための懸命な外交活動が進められてきた。

ネタニヤフ首相 イスラエル首相府公式サイトから
ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)は23日、米軍のイラン核施設空爆による安全問題などについて特別理事会を招集した。一方、欧州連合(EU)は同日、ブリュッセルで外相会議を開き、イスラエルとイラン間の戦争のエスカレーション防止について話し合った。また、24日からオランダのハーグで北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談が開かれ、トランプ米大統領も参加する予定だ。同首脳会談では中東情勢についても32か国の加盟国が協議する、といった具合だ。
「戦争は外交の敗北を意味する」といわれるが、有名な動画「トラベリング・イスラエル」は「欧米諸国は外交による政治交渉で紛争を解決するために腐心しているが、イスラエル・イラン間の紛争は宗教戦争であるという認識に欠けている」と指摘している。
またイスラエルの著名な歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏はレックス・フリードマン氏のポッドキャストで、「問題が国家的、民族的なものだったら、妥協や譲歩は可能だが、信仰や宗教的な対立となれば、妥協が出来なくなる。イスラエルとパレスチナ問題は既に宗教的な対立になってきている。それだけに、解決が一層難しいのだ」と語ったことがある。
中東は「信仰の祖」アブラハムから発生したユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教と世界3大の唯一神教が誕生した地だ。そして歴史を通じて戦ったり、時には共存したりしてきた。イスラエルが1948年、パレスチナ地域で建国して以来、イスラエルと他の中東アラブ諸国との間で戦いが激化してきた。
中東では現在、キリスト教徒への迫害が激しくなっている。イラク、シリアなどで少数宗派のキリスト教徒はイスラム根本主義勢力によって迫害され、追われている。イスラム教徒によれば、イスラム教徒ではないことはアラーへの不敬と受け取られ、非イスラム教徒の迫害は敬虔なイスラム教徒の義務と考えられているというのだ。