でも、英中央政府が正式な法制化を阻止。この法案と英国の平等法に含まれる保護規定の実践に矛盾が発生するという理由からだそうです。
専門委員会の臨時指針は・・・
最高裁の判決を受けて、政府に政策提言をする「平等・人権委員会」(EHRC)が臨時指針を発表しました。
GRCの有無にかかわらず、男性として生まれてのちに女性として自己認識した人(トランス女性)は「生物学上の男性」であり、逆に女性として生まれてから男性として自己認識した人(トランス男性)は「生物学上の女性」であると明記しました。
トイレはどうする?
これによって職場、病院、店舗、レジャー施設、スポーツ組織、学校などの決まりに影響が出ることになる、とEHRCは指針の中で書いています。具体的には、職場ではいずれかの性に特化したトイレや更衣室の設置が義務化されるべき、と。
公共空間となるレストランなどの施設では必ずしも義務ではないものの、女性専用のトイレがなく、どちらの性も利用できるトイレのみが提供されている場合、「間接的な差別になる」との解釈を示しました。スポーツについては「そのうち発表する」としましたが、学校のトイレも男女別々のトイレの設置を必須としています。
トランス女性への対処、続々と
その後4月末にかけて、事態が急速に展開しました。
陸上、自転車、水泳の各競技では以前からトランス女性が女子の試合に参加することが禁止されているのですが、今回の最高裁の判断を受けてスコットランドのフットボール協会が来年から、そしてイングランドのフットボール協会が6月からトランス女性が女性サッカーで競技することを認めないと発表したのです。イングランドとウェールズのクリケット協会は即時で参加を禁止することにしました。
さまざまな性の自己認識を持つ人々を英国は受け入れてきたはずでした。トランス女性・男性の社会の中の位置付けについて、今後時間をかけてじっくりと議論する余地があるのではないでしょうか。