もちろん、消えるばかりではなく新たな雇用の創出も想定される。問題はその「新たな仕事」に失業した人がリーチできるかどうか?ということだろう。

仕事が贅沢品になる

特にサラリーマンにとって、AI時代は厳しい現実を突きつける。

一般的なオフィスワーカーが担うルーチンワークは、AIに代替されやすい。例えば、経理ソフトが会計業務を自動化し、AIアシスタントが会議の議事録を作成するといったイメージだ。一方で、AIに代替されない、置き換えに時間がかかるような仕事もある。物理的障壁、エネルギー問題で少なくとも当面は確保される公算が大きいものだ。

特に議事録作成や資料作り、コーダーなどエントリーレベルの仕事から蒸発しているために、上級職に届かない層が仕事にありつくことが難しくなる。

一方で日本は人手不足が深刻であり、今後はさらに労働人口減少が進む。そうなればむしろAI導入でも完全に余剰化しにくいというマクロ環境があり、政府のリスキリング1兆円投資方針もある。そのため、「人間の仕事が消える」というより、「新たに創出される仕事にありつくための大きな変化へ対応する」と考えるシナリオも想定できるだろう。

AIを使うスキル

今後、「仕事を投げ、プロダクトに仕上げる」というスキルは最重要となる。すなわち、これはAIを使う能力だ。

つまり、「AIと競う」という非現実的なレースに参加するのではなく、「AI以上」の価値を提供する意識とスキル研鑽が重要である。筆者自身、次のように取り組んでいる。

例えば、今書いているこの記事はAIの支援を受けている。まず自分で記事を書き、論理的整合性、誤字脱字の修正、想定されるマーケットからの反発へのカウンター、バイアスからの開放、記事をサポートするデータのリサーチなど、「AIフィルタリング」をかけるのだ。

その結果、時にはお蔵入りとなる原稿もある。だが、従来ならズレたまま出していたことになっていたのでAIのおかげで助けられているということになる。