米軍がイラン攻撃に加わったことで、中東の米軍基地へのイランの報復攻撃のほか,パレスチナのイスラム過激テロ組織「ハマス」やレバノンの民間武装組織「ヒズボラ」,イエメンのシーア派武装勢力「フーシ派」などからイスラエル、米国関連施設への攻撃が予想される。それだけに、トランプ政権は世界各地の米国関連施設、大使館・領事館の警備を一層強化するとともに、要人の警備体制を高める予定だ。
ところで、トランプ氏は19日、米軍のイラン攻撃について「2週間以内に決定する」と述べていたが、その2日後、イラン攻撃にゴーサインを出したことになる。米国では民主党下院のジェフリーズ院内総務が「議会への報告なくして戦争を始めた」としてトランプ氏の議会無視を批判。共和党はトランプ氏の決定をほぼ支持しているが、トランプ氏の「米国を再び偉大な国に」(MAGA)の支持基盤から「海外の戦争や紛争には関与しないと公約していたにもかかわらず、イラン攻撃に参戦した」として不満の声が出ている。トランプ氏の政権運営が困難になる危険性も排除できない。
一方、イランは米軍参戦の事態に直面し、現体制の維持に腐心してきた。テヘランからの情報によると、イラン当局はインターネットの使用を制限する一方、体制批判する国民への弾圧を強めてきた。米メディアによると、イランの最高指導者ハメネイ師は既に後継者を選出し、自身が殺害された場合も国内が混乱しないように対応しているという。
イスラエル軍は13日、イラン攻撃を開始、そして21日、米軍が参戦したことで、イラン側は追い込まれてきたが、地上軍の派遣なくして空爆だけで大国イランを完全に制圧することは軍事的には難しい。最終的には、米国と「弱体化したイラン」が交渉を通じて何らかの合意を実現する方向に行く可能性が考えられる。
懸念される点は、イランが既に製造済みの濃縮60%以上のウラン約409キログラムの行方だ。イラン側は「安全な場所に運んだ」と述べているが、その真偽は確認されていない。最悪のシナリオは、イランがダーティ爆弾(汚い爆弾)をイスラエル側に投下することだ。