では政治的見地ではどうなるでしょうか?まず、今週開催されるNATO首脳会議に石破総理が出席しますが、それに参加するトランプ氏よりIP4に対して会談が要請されているようです。IP4とは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで構成する太平洋地域の安全保障で連携するチームであり、NATOと密接に連携しています。トランプ氏がIP4に対してどのような期待を示すのか注目されます。
ただ私の最大の疑問はNATO参加国、トランプ氏、そしてIP4のメンバーが一枚岩とは思えない点であります。トランプ氏は自己の判断を自画自賛するのが目に見えており、それをもってウクライナ問題も勢いで押し切ると主張する可能性はあります。ただ、それを能天気だと思うNATO加盟国は多いはずです。実際、英国スターマー首相は今回のアメリカのミッドナイトハンマー作戦は一定の評価をしながらも自国は関与していないと苦渋のコメントを読み取ることができます。つまりトランプ氏には誰も面と向かって文句を言えないものの心の中で「火の粉が降りかからないようにする」守りに入っている様子も見て取れます。
一方、イランはアラグチ外相がプーチン氏との緊急会談をするため、モスクワに飛びます。イランのハメニイ師は暗殺されるリスクがあり、現在地下に潜伏していますが、モサドはほぼ正確な居場所を察知しており、その情報はアメリカと共有されています。よって実際に諸外国との直接交渉ができるのは外交の基本からしても外務大臣の力にかかっているとも言えます。
ただプーチン氏としてもここは極めて慎重な判断をすると思われます。最大の疑問はトランプ氏とプーチン氏の関係であり、いわゆる冷戦時のような本音と建て前で言葉の裏側の裏側まで探りあう状況に陥っている感があります。ロシアとしてイランは盟友でありますが、ロシアの体力的余力がそれほどあるとも思えず、軽はずみな支援はしないとみています。