米フランクリン&マーシャル大学(F&M)の最新研究で、妊娠中の女性が語る「胎児の顔」について、驚きの傾向が明らかになりました。
なんと未婚で妊娠した女性の93%は「胎児が父親の方に似ている」と答えたというのです。
これは既婚女性の68%、既婚男性の47%と比べても圧倒的に高い割合でした。
しかも胎児の状態でのアンケート調査のため、顔の正確な識別はできません。
それなのになぜ未婚女性たちは「自分の子供が父親似」と言ったのでしょうか?
研究の詳細は2025年3月12日付で学術誌『Evolution and Human Behavior』に掲載されています。
目次
- なぜ母親は「父親に似てる」と言いたくなるのか?
- 93%の未婚女性が「胎児は父親似」と回答
なぜ母親は「父親に似てる」と言いたくなるのか?
人間の子どもは、他の多くの哺乳類と比べて極端に長い時間をかけて成長します。
その間、子育てには膨大なリソース――時間、労力、食糧、社会的支援――が必要となります。
女性にとっては体内で妊娠し、出産するというプロセスがあるため、自分の子であることは100%確信できます。
しかし、男性にとってはそうではありません。
受精は女性の体内で起こるため、「本当に自分の子どもなのか」を男性が確かめる術は自然状態では存在しないのです。
この状況は学術的に「父性の不確実性(paternity uncertainty)」と呼ばれ、人類の進化においてきわめて重要な問題とされてきました。
父性の不確実性は人類の進化上、男性に特有のさまざまな心理行動を生み出してきたと考えられています。
たとえば、
・配偶者に対する独占欲や性的嫉妬(他の男性の子供ではないかという疑念)
・他の男性との接触を避けさせようとする行動
・女性の貞操を重視する文化的規範(たとえば純潔の価値づけ)
などです。
こうした行動や文化は、すべて「自分の子でない子に投資する」というリスクを回避するために進化したと考えられています。
