「国立造船所」建設を検討政府・自民、造船業復活へテコ入れ 日経新聞
政府・自民党は国内の造船業を復活させるための政策パッケージを策定する検討に入った。国が造船所を新設・再建し、既存の造船設備の更新などを担うことで建造能力を増強する案が浮上する。同じく造船業の再建をめざす米国への協力を視野に国内の産業基盤を整える。
提言の柱は国が造船所の建設・整備を主導する「国立ドック」構想だ。防衛生産基盤強化法や経済安全保障推進法の規定に基づいて国が造船施設を建設・取得し、民間に運営を委託する「国有施設民間操業」の仕組みを活用する想定だ。
経済安保推進法の特定重要物資に「船体」を指定することも提起する。安定供給が欠かせない物資として輸送船や艦船を財政支援の対象とし供給網の強化を図る。
当面必要な投資額として官民で1兆円規模を想定し、設備投資に活用できる基金の創設を検討する。秋にも編成される2025年度補正予算案への計上を視野に入れる。
国交省によると、23年の日本の建造量は1005万総トンと5年前に比べ31%減少した。中国が3148万総トン、韓国が1835万総トンと同期間でそれぞれ3割程度伸ばしたのとは対照的だ。日本国内の船台やドックなどの建造設備は18年の194から24年に178まで減った。
提言をとりまとめた経済安保推進本部の小林本部長は「他国に過度に依存することなく、自律的に物の輸送を行えるよう海事産業全体の再生をめざす」と説明する。官民が連携し、投資拡大のための戦略的な政策を打ち出すことが重要だとの認識を示す。