猛威を振るった嵐の爪痕

 謎の物体の正体は一応は解き明かされたが、その背景にあった嵐が現実に残した爪痕は深刻だった。ワシントンDCとその周辺地域では、時速100kmを超える突風によって木々がなぎ倒され、家屋や車を直撃。数万世帯が停電に見舞われ、電力会社のクルーが昼夜を徹して復旧作業にあたった。

 この巨大な嵐はニューヨーク市にも被害をもたらした。セントラルパークでは、友人たちとピクニックを楽しんでいた15歳の少年が落雷に遭うという痛ましい事故も発生した。彼は木にもたれかかっていたところを雷に打たれ、数分間意識を失ったという。幸いにも神経に損傷はなく、火傷の治療を受けて無事に回復に向かっている。

 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では落雷による死者は年間約30人だが、落雷に見舞われても約90%の人は命を取り留めるという。今回の出来事は、嵐の恐ろしさと、時に起こる奇跡の両方を私たちに教えてくれるものとなった。

 謎の現象は科学的な説明で一件落着、というわけだ。それでも、嵐の夜に空が描いたあの一本の線は、しばらく人々の記憶に残りそうである。

参考:Daily Mail Online、ほか

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