ワシントンDCの上空で奇妙な現象が観測され、一時騒然となった。木曜日の午後、気象レーダーの画面に、まるで何かを一直線に発射したかのような謎の筋が映し出されたのだ。この不可解な映像は瞬く間にSNSで拡散され、「気象兵器によるものか」「もしやUFOでは?」といった憶測が飛び交い、ちょっとしたパニックを引き起こした。

 この異常現象が捉えられたのは、ちょうどワシントンDC一帯が激しい雷雨に見舞われていた時間帯。1時間にわたって豪雨と突風、そして雷が猛威を振るっていた、まさにその最中だった。レーダーに映った筋は、雨や雪、雹といった通常の気象パターンとは明らかに異なり、くっきりとした直線を描いて画面を横切っていた。一体、これは何だったのだろうか。

専門家が解き明かす「謎の筋」の正体

 オンラインで混乱が広がる中、一人の気象学者がこの謎に明快な答えを示した。レーダーアプリの専門家であるマシュー・カプッチ氏によると、この奇妙な筋は気象現象や未知の物体によるものではないという。

 彼の説明によれば、これはレーダーの特性によって生じる「アーティファクト(偽像)」である可能性が高いとのこと。レーダー基地の近くにある給水塔や携帯電話の電波塔といった物理的な構造物が、レーダーの電波を遮ったり反射したりすることで、実際には存在しないものが映像に映り込んでしまうことがあるのだ。これはレーダーシステムではごく一般的に起こりうる現象で、鳥の群れや蝶、飛行機、時には流星さえも捉えることがあるという。

👀What is this zooming across the radar over Washington DC? 👀 I just pulled up radar to check on the massive storm overhead and noticed an anomaly on the radar loop. Anyone know what is shooting across the radar over Washington DC around 3:30pm? pic.twitter.com/lwWxsimAuj

— Kari Lake (@KariLake)June 19, 2025

 この専門的な解説に、発端となった投稿者も納得した様子を見せた。しかし、SNS上では「それは気象学者のふりをしたCIAの発言に違いない!」といった冗談めかしたコメントも見られ、人々の想像力をかき立てたようだ。