mathisworks/iStock

1. 教育の固定資本減耗

日本の経済活動別 固定資本減耗について国際比較を試みます。

固定資本減耗は減価償却費に相当する概念で、固定資産価値の目減り分を表す指標です。

今回は、公務と共に公務・教育・保健の構成分野である教育の固定資本減耗について注目してみます。

図1 経済活動別 労働者1人あたり固定資本減耗 日本OECD Data Explorerより

図1が日本の労働者1人あたり固定資本減耗の推移です。

今回着目する教育(薄緑)は平均的な水準で推移しているようです。

教育分野における固定資産とは主に校舎などの建物・建築物が考えられますが、GIGAスクール構想などによるIT機器の導入も増えているのではないかと想像されます。

2. 労働者1人あたりの推移

教育の固定資本減耗について労働者1人あたりの水準(名目、為替レート換算値)の推移を見てみましょう。

図2 労働者1人あたり 固定資本減耗 教育OECD Data Explorerより

図2が主要先進国の教育分野における、労働者1人あたり固定資本減耗の推移です。

日本が極めて高い水準である事がわかります。

停滞傾向のため他の主要先進国との差は縮まっていますが、それでも大きく上回っている状況です。

労働者1人あたりなので、労働者(主に教員)が相対的に少ない事も影響しているかもしれませんね。

3. 労働者1人あたりの国際比較

最新の2022年の水準について国際比較してみましょう。

図3 労働者1人あたり固定資本減耗 教育 2022年OECD Data Explorerより

図3がOECD各国の2022年の国際比較です。

日本は17,527ドルで、先進国ではノルウェーに次いで高い水準です。

上位にノルウェー、フィンランド、デンマークと北欧諸国が並ぶのも特徴的ですね。

その中でもスウェーデンが比較的水準が低いのが気になります。

主要先進国では他にドイツ、イギリス、アメリカが比較的高く、フランスが中程度、イタリアがかなり低い水準というのが特徴的です。