目の前で起きた「蒸発」、そして第三の目撃者
L.K.氏たちの車が少し前に出て路肩に停車し、振り返った、その瞬間だった。つい今まで後ろにいたはずのレトロカーが、跡形もなく消え失せていたのだ。隠れる場所などどこにもない、見通しの良い直線道路。まるで煙のように母子を乗せた車は忽然と姿を消してしまった。
二人が呆然としていると、一台の車が猛スピードで近づき、彼らの横に急停車した。興奮した様子のドライバーが車から飛び降りるなり、こう叫んだ。「あの車はどこへ消えたんだ!」
このドライバーは一部始終を後方から目撃していたのだ。L.K.氏たちの車が古い車に並走し、減速した直後にその古い車が忽然と消えるのを、はっきりと見たという。彼は事故が起きたのだと思い、慌てて駆けつけたのだった。

残された謎 ― 彼女はどこから来て、どこへ消えたのか
三人は車の破片ひとつ落ちていないことを確認し、その後1時間近くも周辺を歩き回って捜索したが、何の痕跡も見つけることはできなかった。まるで自分たちの正気が試されているようだ――。そう感じた三人は、連絡先を交換してその場を去った。
後年、彼らはこの出来事を振り返り、一つの結論に至った。あれは偶然起きた「タイムスリップ」だったのではないか、と。
1940年代の冬のある日、道を走っていた母子は、何かの拍子に時空の裂け目に迷い込み、29年後の未来、そして秋のルイジアナにほんのわずかな時間だけ現れてしまったのかもしれない。彼女にとって、それはきっと悪夢のような出来事だったに違いない。そして、助けを求めたその一瞬の後、彼女はまた、自らの時代へと戻っていったのだろうか。
目撃者たちが生涯忘れられなかったこの光景は、60年近く経つ今も語り継がれる奇妙な実話の一つである。
参考:strangemag.com、ほか
文=青山蒼
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