「10年分の被害が数日で」――人工衛星網への壊滅的打撃
月の破片は、地球の厚い大気圏で燃え尽きるため、地上に直接的な被害が及ぶ可能性は低い。本当の恐怖は我々の頭上、宇宙空間で待ち受けている。
現在、地球低軌道にはスペースX社のスターリンクをはじめとする数千もの人工衛星が周回している。我々の生活に不可欠な通信や測位システムを支える、いわば現代文明の神経網だ。月の破片のシャワーは、この神経網をズタズタに引き裂く恐れがある。
ウィーガート博士の計算によれば、この事態が発生した場合、「通常なら10年かけて発生するレベルの衛星損傷が、わずか数日で起きる」可能性があるという。ケント大学のマーク・バーチェル教授も、わずか1ミリの破片でさえ、衛星のソーラーパネルを破壊し、ケーブルを切断するには十分だと指摘する。多数の衛星が同時に機能不全に陥れば、その影響は計り知れない。
NASAもこの最悪のシナリオを考慮し、対応策の検討を始めているという。地球への直撃は免れた。しかし、間接的でありながら、より現実味を帯びた脅威が、静かに我々の未来に影を落としている。
参考:Daily Mail Online、ほか
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