だが、これらは例外であり、「他人事」で本気になることは難しい。結局、身銭を切って痛みを伴わなければ、大多数は心から本気になどなれない。これはその人がダメというより、人間はそういう生き物だと思った方が自然な発想だ。

えらそうな事は言わない。自分自身も同じである。だから挑戦する時はまずはしっかり身銭を切ってダメージを負うところを取り組みの起点としている。

リスクを取る人は強い

一方でリスクを取る人間は強い。

例えば、起業家だ。彼らは非常に高いリスクを取っている。自分の貯金を投じ、基本的には会社員という強力な社会インフラとのトレードオフだ。会社員をやめてしまえば、もう戻る場所はない。失敗すれば失うのはお金、時間、キャリアであり、全身全霊で成功をかけて挑む。挫折するという発想はない。

投資家もまた、自分の資金を市場に投じることで真剣に分析し、戦略を練る。リスクがあるからこそ、本気になれるのだ。

もちろん、会社員の中にもリスクを取る人は本気な人がいる。世の中は相対比較と競争の原理で動いている。仕事を「自分ごと」と捉えて、本気でキャリアを追いかけている人は「とにかく目先の仕事で結果を出すこと」にフルコミットしているので、間違いなく本気でやっている。

たとえば数年間、自分のキャリアにならないプロジェクトなどに配属されれば、彼らは時間の無駄を嫌ってキャリアアップに直結する仕事を求めて転職する。

世の中はドンドン競争的になっていく。労働人口が減少する我が国においても、特定の職業では人余りで競争しているし、外国人労働者とも競合する。今後はAIだろう。

そうなれば本気の人同士が競う世界で、リスクを取らずに片手間で取り組む人は勝ち目がない。競争の中で生き残るには、リスクを取って本気になるしかない。

リスクを取れない人は本気の人に勝ち目がない。やる気は出せても本気を出せないからだ。だが、世の中は厳しい。投資の格言でもあるがリスクを取れる人はリスクを取れない人から富を得ている。これはビジネスでも人生でもまったく同じ構図である。本気を出したければ、まず痛みを伴うリスクを取ることだ。