ミゲル・ウリベ上院議員

コロンビアで上院議員が銃撃:護衛の不備と左派政権の治安悪化が背景に

6月7日、南米コロンビアで右派のミゲル・ウリベ上院議員(39)が街頭演説中に頭部と左太ももを銃撃される事件が発生した。調査により、通常は1人の国会議員に7人の護衛と2台の装甲車が同行する取り決めであるにもかかわらず、当日ウリベ氏には3人しか護衛がついていなかったことが明らかになった。ウリベ氏の側近は昨年から国家保護局(UNP)に対し、彼の警護体制の強化を求めていたという(6月9日付「エル・ヌエボ・シグロ」)。

一方で、UNPの職員は、ウリベ陣営から当日の行動予定について警察やUNPへの事前通達がなかったと主張している。しかし、ウリベ氏は昨年10月から次期大統領選に向けた候補者であることが公表されており、その移動には特別な警備体制が敷かれるべきだった。護衛が3人に減らされていたのは、何らかの意図があった可能性も指摘されている。

実行犯は未成年、背後に元FARC系ゲリラ組織

捜査当局によれば、今回の襲撃には「ヌエバ・マルケテリア(Nueva Marquetalia)」という武装組織が関与している。この組織は、2016年の和平合意により解散したコロンビア革命軍(FARC)に属していたが、合意に反対して武装闘争を継続する分派である。実行犯はフアン・セバスチアン・ロドリゲスという14〜15歳の未成年で、使用された銃は米国から持ち込まれたグロック型拳銃だった(6月9日付「エクスペディエンテ」)。

映像記録では、ロドリゲス容疑者が携帯電話を所持していたことが確認されているが、逮捕時には所持していなかった。この携帯電話を通じて指示を受けていた可能性があると見られている。

治安悪化と政権の対立が背景に

コロンビアでは長らく右派政権が続いてきたが、現在のグスタボ・ペトロ大統領は元ゲリラ兵で左派出身であり、右派が多数を占める議会と対立を深めている。政権運営は停滞し、ペトロ大統領の言動も過激さを増している。