また、PDIはがん細胞においても働いており、抗がん剤の効き目を弱める要因となることが知られています。
そのため、がん治療では逆にPDIの働きを抑えることで、治療効果を高めるという逆転の応用も考えられているのです。
研究チームは、次のようの述べています。
「PDIは二重スパイのようです。
健康な細胞ではDNAを修復し、病気の予防に役立ちます。
しかしがん細胞では、PDIが乗っ取られ、体ではなく腫瘍を守ってしまうのです。
だからこそ、PDIを完全に理解することが非常に重要だと言えます」
老化、神経疾患、がん——これらの治療の鍵を握っているかもしれないPDI。
その“DNA接着剤”としての力が、私たちを病気から救ってくれる日が来るかもしれません。
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参考文献
Anti-aging “glue” naturally repairs damaged DNA to protect brain cells
https://newatlas.com/aging/anti-aging-cells/
DNA ‘glue’ could help prevent and treat diseases triggered by ageing
https://lighthouse.mq.edu.au/article/june-2025/dna-glue-could-dhelp-prevent-and-treat-diseases-triggered-by-ageing
元論文
The Redox Activity of Protein Disulphide Isomerase Functions in Non-Homologous End-Joining Repair to Prevent DNA Damage
https://doi.org/10.1111/acel.70079
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。