世の中には足を踏み入れただけで背筋が凍るような場所がある。幽霊の存在を信じるか信じないかは別として、凄惨な歴史を持つ土地には言い知れぬ不気味な空気が漂うものだ。
イタリアに浮かぶ「ポヴェーリア島」は、まさにそんな場所。超常現象研究家の間では聖地とすら呼ばれるこの島に、あるYouTuberが友人と共に忍び込み、一夜を明かすという無謀な挑戦を行った。彼はもともと幽霊など信じない懐疑論者だったが、この夜の体験は、そんな彼の考えを揺るがすには十分すぎるほど恐ろしいものだった……。
ポヴェーリア島:死と狂気が刻まれたイタリアの禁足地
その呪われた島、ポヴェーリアは、水の都ヴェネツィアとリード島の間に浮かんでいる。風光明媚な場所にあるにもかかわらず、この島が「世界一怖い島」と呼ばれるのには、血塗られた理由がある。
18世紀後半、この島はペスト患者を隔離するための場所として使われ始めた。本土で暮らせなくなった人々が次々と送り込まれ、ここで絶望のうちに命を落としていったのだ。ナショナルジオグラフィックによれば、その数はおよそ10万人にものぼるという。
さらに20世紀に入ると、島には精神病院が建てられた。そこでは患者に対する非人道的な実験が行われていたという黒い噂も絶えない。1960年代に病院が閉鎖されて以来、ポヴェーリア島は完全に放棄され、おびただしい数の死者の魂が眠るとされる無人の廃墟と化した。

なぜ「禁足地」なのか?
現在、ポヴェーリア島への一般人の立ち入りは固く禁じられている。その最大の理由は心霊的なものというよりは、もっと現実的な危険だ。
島が放棄されてから60年近くが経ち、かつての病院や教会といった建物は自然に侵食され、崩壊寸前の状態にある。もし無断で侵入した探検者が崩落事故に巻き込まれても、助けを呼ぶことすら難しい。そのため、イタリア当局は安全上の理由からこの島を禁足地としているのだ。どうしても行きたい場合は特別な許可が必要となるが、よほどの理由がなければ認められることはない。
