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イスラエルという国を政治的・軍事的に強力に支えているのはアメリカなのだが、その背景にあるのが「ユダヤ系ロビー」と「福音派キリスト教徒」である。特に福音派はトランプ大統領の「岩盤支持層」として知られ、トランプ政権の対イスラエル政策には、福音派への配慮が色濃く表れている。その根底にあるのが、福音派が信じる聖書的終末観である。
聖書を「一字一句、字義通り」に読む福音派の人々は「携挙(けいきょ/Rapture)」というものを信じている。携挙とは、終末の災いが始まる前に、イエス・キリストを信じる人々が地上から天に一斉に引き上げられる出来事のことをいう。
アルマゲドン(善と悪の最終戦争)やキリスト降臨といった一連の出来事すべてを含む「終末論」は旧約・新約を問わず聖書全体の様々な箇所――ダニエル書、エゼキエル書、ヨハネの黙示録など――で語られている。その一連の流れの中に「イスラエル国家の再建」が重要な一歩として含まれているのだ(たとえばエゼキエル書37章の「干からびた骨の復活」、ルカの福音書21章の「いちじくの木」など)。そのため、福音派はイスラエルを、終末に向けた「神の計画」の要となる絶対に守られるべき国とみなしている。
イスラエルは1948年に建国されたが、福音派にとっては、それは「再建の始まり」にすぎない。「イスラエル再建」とは、1948年に始まり、霊的・預言的成就に向かって今も進行中の「未完成のプロセス」と捉えられている。その「完成」とは、ユダヤ教徒がイエスをメシアとして受け入れることや、エルサレム神殿の再建などであるとされる。
自分はプロテスタントのキリスト教徒だが、福音派の主張には賛同しかねる部分が少なくない。しかしながらキリストを想う心においては自分も彼らと同じだ。だからメディアが福音派クリスチャンを一括りに「狂信者」のように描写するのを見ると複雑な気分になる(非キリスト教徒からすればカルト的に見えるのは理解できるが)。また、イスラエルばかりをメディアが一方的に批判する姿勢にも違和感を覚える。